カッシーニ土星探査機から切り離されたホイヘンス着陸船は、2005年1月14日にタイタンに着陸しました。5月4日に公開されたムービーは、茶褐色の分厚い大気を通り抜け、タイタンの表面の柔らかい砂状の岸にゆっくりと着陸するまでの147分間の様子を、4分40秒にまとめたものです。
最初、ホイヘンスは分厚い霧に包まれたタイタンを写していますが、高度が60kmで霧が晴れ始めます。ホイヘンスは明るい丘の間の暗色の谷に降下を続けます。高度21kmで薄いもやの層を通り抜けますが、そこにはメタンの雨が地表を流れてできたと思われる、幅数百メートル、長さ数キロの複雑な河床が見えてきます。さらに降下を続けると、川と岸が見えてきますが、そこには液体はありません。荒い稜線からなる侵食の痕跡が見え、ホイヘンスはその侵食でできたガリーの中に降下していきます。
ホイヘンスは、タイタン表面にゆっくりと着陸し、無数の岩石で覆われた姿が映し出されます。まるで、地球の水のない河床のようです。このムービーの面白いところは、着陸後にホイヘンスのパラシュートの影が地表を横切るところと、ホイヘンスの熱で表面にある摂氏マイナス180度のメタンが蒸発する場面でしょうか。
これまでで最も遠い衛星に着陸したホイヘンスのムービーは、とても幻想的ですが、科学データに裏付けられたタイタンの姿を映し出していて、一見の価値があります。
- http://www.nasa.gov/mission_pages/cassini/multimedia/pia08118.html
画像6 ホイヘンスのタイタン着陸 画像提供/ ESA/NASA/JPL/University of Arizona(拡大) |
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