天文ガイド 惑星サロン2006年8月号 (No.47)伊賀祐一

STB白斑の歴史

STB白斑"BA"が赤化していると注目されていますが、この白斑はいつから観測されるようになったのでしょう。

1939-41年頃に明るいSTBの3ヵ所に短い暗部ができ(左上)、これらを識別するためにABCDEFの位置コードがつけられました。つまり、この時はSTB暗部AB、CD、EFだったわけです。ところが、3個の長い明るい帯だった領域が、その後急速に縮小し、細長い楕円形の白斑に変化しました(右上)。この時点でSTB白斑BC、DE、FAと命名されました。おそらく、長い明帯は循環気流だったと考えられ、循環気流が高気圧性の渦に進化するプロセスは興味深いものです。

3個の白斑は永続白斑(LEBS)とも呼ばれ、1960年代から1970年代は小口径の望遠鏡でも良く見えました。その後は次第に大きさが縮小し、さらに白斑どうしが接近していましたが、1998年にBCとDEが合体して白斑BEとなり、2000年にはBEともう一つのFAが合体して白斑BAとなりました。つまり、BAは合体から6年であり、元々のルーツからは67年を経過しています。


画像5 STB白斑の進化
画像提供/ ムードン天文台アーカイブ(BDIP)(拡大)

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