天文ガイド 惑星サロン2009年3月号 (No.78)阿久津弘明

私の観測所

現在観測に使用している機材は、京都の前田さんより譲ってもらった28cmニュー トンを、初代アトラクスに載せています。また、使用カメラはImaging Source のDFK 21AF04とDMK 21AF04にて、カラーおよびモノクロでそれぞれ撮影を行って います。

私の場合立派な観測所が無いため、以前は観測の度、車庫から赤道儀一式、玄関 から鏡筒やPCなどを持ち出し準備するのに約1時間かかりました。現在は観測ま でのスピードアップを行うため、庭に赤道儀を出したままにしてあります。ただ、 旭川の冬は雪が降り、更に最近は暖かくなったといえ-15℃以下になる夜も珍し くありません(以前は-25℃くらいになるのは普通でした。温暖化の影響でしょう か)。シートだけでは心配だったため、大きなポリバケツを赤道儀にかぶせて保 管しています。この方法で観測準備時間が約半分に短縮できました。更に鏡筒の 脱着時間を短くするために、現在アリガタ、アリミゾを注文中です。

冬場での観測で困る事は、まず鏡筒が外気に馴染むまで2時間くらい掛かり、す ぐには観測が出来ない事。次に、PCのモニターに液晶が使用できない事。氷点下 になると液晶画面が写らなくなり、どうしてもブラウン管のモニターが必要にな ります。更に、冷えた鏡筒や赤道儀をうかつに素手で触れてはいけない事、瞬時 に手が貼りついて凍傷になります。ただ悪い事だけではありません。メタンバン ドでの撮影は28cmでも3秒ほど露出時間が必要で、夏場はノイズがかなり出てし まいますが、冬場は全くノイズが出ません。天然の冷却CCDとなります。

いつかは観測所を、この夢はいつ叶うのでしょうか。


[図1] 観測所の様子 左) 収納状態 右) 観測状態(拡大)
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