淡化した南赤道縞(SEB)が濃化復活するSEB攪乱(SEB Disturbance)は、木星面で
最も激しい現象のひとつです。過去に21回の発生が記録されていて、最近では
2007年に見られました。近年ではめったに見られない珍しい現象に数えられます
が、1940年代から1960年代初めにかけては、ほぼ3年おきに観測されました。
SEB攪乱はSEBの特定の場所(発生源)から、明暗さまざまの乱れた模様が広がって
いくので、木星内部からの噴出活動を思わせる活動です。そのため、発生源を推
定する研究が古くから行われており、これまでの攪乱を、体系3に近い3つの噴出
源で説明したリースの仮説が有名です。
さて、図2はこれまでのSEB攪乱の発生位置を、大赤斑との経度差で表したもので
す。よくばらけているようにも見えますが、よく見ると、大赤斑後方60〜120°
や大赤斑前方60〜150°の範囲など、発生しやすい場所があるようです。一方、
大赤斑の近くではあまり発生していません。
同じSEBでの噴出活動であるmid-SEB outbreakについても、同様の調査をすると、
大赤斑後方での発生が多く、前方ではあまり多くないことがわかります。両者は
活動の様子が似ているため、背景となるSEBの濃度が違うだけではないかとの議
論もありますが、これを見ると、特徴がやや異なるようです。
最近のSEBは明るいSEBZが発達し、南縁のジェットストリームの活動もなく、大
変静かな状態となっており、近い将来、ベルト全体が淡化するのではないかと予
想されています。数年後に起こるであろうSEB攪乱の発生位置を予測し、世界で
最初の発見者になりたいですね。
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