天文ガイド 惑星サロン2010年1月号 (No.88)石橋力

小口径と銀塩による惑星模様の長期間での変化

近年のデジタル技術の進歩はめざましいものがあります。少し前までは大口径で も捉えることができなかった模様が、アマチュアの機材で捉えられるようになっ てきました。私自身も、これまで長年続けてきた銀塩フィルムでの写真観測から、 ウェブカメラへそろそろ移行しようかと考えています。

デジタル技術が進歩する一方で、同じ望遠鏡で撮像しても、画像処理のやり方次 第で、できる画像が変わってしまうことを経験されている方も多いことでしょう。 銀塩写真は、フィルムや現像液による違いはあるものの、同じ方法でやればかな り一定の結果が得られます。私は1970年頃から口径10cmの反射望遠鏡とミニコピ ーの組み合わせで、惑星面を取り続けてきました。ここでは、大接近した2003年 の火星面と、その2回前の大接近だった1971年の火星面を比較して、そこからわ かる模様の変化を紹介します。

図1は大シルチス付近の写真を並べたものです。2003年は1971年に比べて大シル チスが細くなり、その南側のヘラスも広がった感じになっています。また、図2 はソリスラクス付近ですが、2003年の火星では、オーロラシヌスからソリスラク スの北へ延びるコプラテスやルナ湖へ延びるガンゲスが淡化しています。

このように長期間、同じ機材で同じレベルで撮ってみると、細かい変化は追えな いものの、逆に大きな変化を見つけることができます。


[図1] 大シルチス付近の変化
撮影:筆者 (神奈川県、10cm反射)
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[図1] ソリスラクス付近の変化
撮影:筆者 (神奈川県、10cm反射)
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