天文ガイド 惑星サロン2010年11月号 (No.98)堀川邦昭

初めて参加した木星会議の思い出

木星会議は木星の観測や研究を行っている人達が一堂に会して、情報交換や親睦 を深めるための集まりです。1974年にスタートしてから、木星の観測シーズンに 合わせて13ヵ月に1度のペースで開催されています。

私が初めて参加したのは1977年の第4回の時で、会場は代々木のオリンピック記 念青少年センターでした。大学1年生だった私は大学天文連盟(大天連)の一員と して出席しました。天文誌で見る第一線の観測者に初めて会えるとあって、ワク ワクしながら出かけたものです。

会議には、当時の東亜天文学会(OAA)木土星課長の平林勇さんを初めとして近内 (堀口)令一さんや宮崎勲さん、仙台市天文台の小石川正弘さんなど、そうそうた る顔ぶれでした。会議の内容は駆け出しの私には大変高度でしたし、激しい議論 の押収もあり、緊迫した雰囲気を感じました。大天連ではずうずうしく意見を述 べていた私ですが、白熱した議論に圧倒されてひと言も発言することができませ んでした。

夜、宿舎で仲間同士スケッチを比べあっていたところ、「そのスケッチ、本物の 木星と同じ位になるまで離してみい、NTBなんか見えへんようになってしまうや ろ」と後ろから京都弁で大きな声がします。振り向くと、そこには安達誠さんが 立っていました。今では親しくお付き合いさせていただくようになりましたが、 当時は雲の上の大ベテラン、私の描いたNTBが細過ぎることを鋭く指摘されて、 大変緊張したものです。最後は「ええセンいっとるで、頑張ってや」と声をかけ ていただき、大変励みになったのを覚えています。

木星会議への参加は、全国の木星観測者と交流できて大変刺激になりましたし、 観測する上での目的や目標が明確になり、大変勉強になりました。

今年の木星会議は10月23〜24日に姫路市の姫路科学館で開催されます。木星の最 新情報を収集するとともに、日本のトップアマの素顔に触れるチャンスですので、 是非とも参加されてはいかがでしょうか。


[図1] 1977年の木星会議でのひとコマ
菅野清一氏(山形県)より提供
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