天文ガイド 惑星サロン2010年10月号 (No.97)三品利郎

惑星撮影での解像力 〜 カラーカメラとモノクロカメラの差は?

一部の例外もありますが、カラーカメラで使われている撮像素子はベイヤ配列と 呼ばれ、赤(R)、緑(G)、青(B)の素子が格子状に並んでいます。赤・青・緑・緑 の四つの素子を一組にして、画像の一つの画素を形成します。一方、モノクロは 一つの素子が画像の一つ画素になります(図1)。撮像素子だけの解像力はモノク ロが良いことがわかります。

一方、望遠鏡の解像力には、光の回折現象によりできるエアリーディスクの大き さが影響します。そこで、天文年鑑318、319ページの計算式で望遠鏡と合わせた トータルの解像力を計算して見ます。惑星を撮影する時はF30以上になります。 318ページの式(2.44×波長×F数)で、波長は0.588μを使いエアリーディスクの 直径を計算すると43μで撮像素子8個分になります。惑星の撮影に良く使われる カメラは、カラーもモノクロも一素子の大きさが5.6μ四方で、両者ともエアリ ーディスクの中には37個以上の素子が入ります(図2)。

319ページの写真撮影での解像力を求める式(1/望遠鏡の空中解像力+1/撮像素子 の解像力)で、トータルの解像力を計算します。F30の空中解像力は、先ほど計算 したエアリーディスクの大きさから46本/mmとなります。図1の考え方から、モノ クロ撮像素子の解像力は89本/mm、カラーは45本/mmとなります。すると、モノク ロ撮影での解像力は30本/mm、カラー撮影では23本/mmとなりました。30本/mmと いうことは、撮像素子の表面上で解像できる大きさは33μが限界となります。こ れは撮像素子6個分です。23本/mmは同様に43μの撮像素子8個分で、両者の差は 撮像素子で見ると2個で、これは画像をPCのモニタで見る時には0.5mm以下の差に 相当します。実際の撮影では、大気の揺らぎにより望遠鏡の解像力が低下してい るので、その差はさらに小さくなるでしょう。


[図1] 撮像素子の配列と解像度(拡大)

[図2] エアリーディスクと解像度の限界(拡大)

【お詫びと訂正】 先月号の惑星サロン「衝突現象の怪」の記事中、「カラーで撮像しているゴー氏 に対して、ウェズレー氏はRGBの三色で別々に撮像し、後でそれらを合成して画 像にしています。今回の現象は、青色光(B)で撮像しているときに起こりました。」 と書きましたが、正しくは「両者ともRGBの三色で別々に撮像し、後でそれらを 合成して画像にしています。今回の現象は、ウェズレー氏は赤色光(R)、ゴー氏 は青色光(B)で撮像しているときに起こりました。」でした。お詫びして訂正さ せていただきます。(堀川)

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