天文ガイド 惑星サロン2011年5月号 (No.104)熊森照明

新しいCCDセンサーICX618ALA

ICX618ALAはソニー製CCDモノクロセンサーであり、IMAGING SOURCE社の DMK21AF04などのPCカメラに使われているICX098BLの2倍から3倍の感度があると 言われています。画素数はどちらもVGA(640x480ピクセル)で画素数が上がるわけ ではありません。すでに産業用カメラとして販売されていて、POINT GREY社の Flea3やBASLER社のBASLER aceなどが惑星撮影で多く使われています。私は、モ ノクロPCカメラとカラーPCカメラで得られた撮影データを合成するLRGB法による 高解像惑星撮影をめざしていますが、高感度モノクロセンサーは高解像に直接繋 がるもので、ICX618ALAをとても使いたいと思っていました。

ネットで調べると、イギリスではPHILIPS社のウエブカムspc880ncのCCDチップを ICX618ALAに置き換えたものを販売していましたので、これを購入することにし ました。そしていろいろテストしたのですが、ノイズなどもあり基板回路の限界 もあって、手持ちのDMK21AF04の能力を上回ることはできませんでした。そこで 最後の手段として、ICX618ALAのチップを改造spc880ncから剥がして、DMK21AF04 へ換装することにしました。素人のハンダ技術では限界を感じましたが、何とか 換装ができました。

早速、DMK21AF04+ICX098BLとDMK21AF04+ICX618ALAを土星で比較撮影してみまし た。結果としてL画像の取得では約2倍の感度がありました。直接的に解像度が 上がるわけではありませんが、時間的な解像度が上がりSN比の向上に役立つもの と考えています。 


[図1] DMK21AF04に換装されたICX618ALA(拡大)

[図1] 土星によるICX618ALAとICX098BLの比較
セレストロンC11による
(拡大)
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