天文ガイド 惑星サロン2014年1月号 (No.136)安達誠

周辺が重要な火星画像

近年、動画の画像処理が簡単にできるソフトがいくつも出てきています。1970年代には考 えられなかったような、素晴らしい画像がたくさん報告されてくるようになりました。昔 は「目で見える模様のうち、いくらかは写真に写る」という時代でしたが、今は「見えな くても画像処理すれば模様が出てくる」時代になりました。

月惑星研究会に報告されてくる画像の中で、私が注目するものの一つに、画像の周辺部の 色合いがあります。火星の大気には塵が含まれていますが、これが多いと周辺が黄色く見 えます。この現象は眼視でも分かりますが、画像の場合、コントラストを上げることによ ってとても分かりやすくなるのです。

淡いダストの広がりをつかむためには、画像の周辺を注意して見なければなりません。ダ ストが多いと、画像の周辺部が黄色くなります。また、周縁に霧が出ていると、画像の周 辺部には白が鮮明に写ります。これらの現象によって、大気の状態をつかむことができる のです。

しかし、残念なことに、報告されてくる画像のうち、かなりの数は周辺がつぶれてしまっ ていて、情報をつかむことができない場合が多いのです。よくある例は、カラーの場合、 露出が多すぎて、明るく飛んでしまっているもの、不適切な画像処理によって周辺に二重 リングができているものなどです。

画像を撮像される方は、火星の場合は特に、周辺部を大事にしていただきたいと思います。 また、極冠はほとんどの場合、明るく飛んでしまうので、極冠内部に露出を適合させた画 像の報告もお願いしたいものだと思っています。

露出がオーバーになっていたり、強調処理が強くなりすぎたりしないように注意して、報 告をいただけると。利用価値が高くなります。

[図1] 好ましくない画像の例
不適切な画像処理により、火星像周囲にリングができている。

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