ここ数年、毎年のように木星面で閃光が観測されています。直径数メートルから数十メー
トルの隕石か氷のかけらが衝突したものと考えられていますが、これまでは全て他の目的
の観測中に偶然捉えられたものでした。
昨年、世界で初めての試みとして、積極的に閃光を狙う観測が、名寄・三鷹・川崎・姫路
の天文台や、多くのアマチュア観測家の間で行われました。延べ40時間以上木星面がモニ
ターされましたが、残念ながら閃光は捉えられませんでした。我々の観測期間が終了した
直後にアメリカで閃光が観測され、ちょっと悔しい思いもしました。しかし、40時間の観
測で捉えられなかったからといって諦めたりはしません。今年も、閃光を狙う計画が練ら
れています。三鷹・川崎・姫路に加えて西はりま天文台で同時観測を行います。他にも多
くのアマチュアの観測者が参加します。観測協定時刻は11月9日〜17日の後半夜(0時〜翌4
時)です。観測の手伝いに、多くの大学天文部の学生さんが名乗りをあげてくれています。
閃光観測の科学的意義は、望遠鏡では見ることのできない木星付近の微小天体の分布につ
いての手がかりを得ようというものです。クレーターカウントから大雑把な予想はされて
いますが、直径数mクラスの天体の存在度は分からないのです。観測はとても地味なもの
ですが、このような地道な努力の積み重ねがあって科学は進歩していくと信じています。
そして、今年こそは閃光を捉えられると期待して、観測に臨みます。
観測地・施設 | 望遠鏡 | バンド |
国立天文台三鷹キャンパス | 50cm | IR |
川崎市青少年科学館 | 40cm | IR |
姫路市宿泊型児童館「星の子館」 | 90cm | 890nm |
兵庫県立西はりま天文台 | 200cm | 890nm |
表1 2013年の主な閃光観測拠点
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[図1] 昨年の国立天文台での閃光観測の様子 () |
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