火星の上空には数こそ少ないですが、地球と同じように探査機が周回しています。とりわ
け、アメリカのMRO(Mars Reconnaissance Orbiter)は、火星を南北方向に飛びながら、表
面の様子を撮像していますので、その画像から火星面の様子が手に取るように分かります。
図1を見ると、南北方向に破れたような穴ができていますが、これは探査機で撮影できな
かった領域を表しています。探査機の飛行高度は、火星に対して高度が低いため、一部を
撮像したものをつなぎ合わせて合成されているため、時々このような状態になることが起
こります。
毎日の画像を比べながら点検すると、面白いことがいくつも出てきます。一つの例として
北極冠の様子をみてみましょう。
図2からわかるように、たった1日で、こんなにも大きな変化が記録されます。極冠は砂で
覆われたり、融けたりしているらしいのです。地球からの観測では、視直径の大きなとき
でないと、ここまでの記録は困難なので、MROの画像は極冠周辺の変化を知る大きな手が
かりを与えてくれます。
また、山にかかる雲の様子から、気流の流れを推測することも可能です。火星年での一年
間を追跡するだけでも、大気の運動が見えてきそうに思えます。探査機の画像から得られ
るものが、まだまだありそうです。
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[図1] MROによる火星画像 |
2013年11月の2日分の観測。裂け目のような黒い部分は撮像されなかった領域。 |
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[図2] わずか1日で生じた北極冠の変化 |
左は2013年12月18日、右は12月19日の同じ位置の画像。左の画像は北極冠からの吹き出し(矢印の先)が見られる。 |
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