木星に微小天体が衝突する際に見られる閃光現象を、組織だって観測しようとする試みは、
今年で3シーズン目を迎えました。2012年8月、2013年11月に続いて今年2015年3月に、北
海道大学「ぴりか望遠鏡」と名寄市立天文台、川崎市宙と緑の科学館天文台で観測を行い
ました。そこそこのシーイングに恵まれた日もあったのですが、残念ながら閃光現象は検
出されませんでした(写真は名寄での観測風景)。
これまでの閃光の観測例とその観測シーズンにどのくらいの観測が報告されているか調べ
てみました。月惑星研究会に世界中から画像として報告される木星の総フレーム数と、閃
光の検出数が次の表です。
シーズン | 総フレーム数 | 検出数 | 備考 |
2009-2010 | 5333 | 0 |
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2010-2011 | 10208 | 6 | (2+4) 豪、比、日 |
2011-2012 | 6723 | 0 |
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2012-2013 | 8768 | 2 | (2) 米 |
2013-2014 | 6026 | 0 |
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2014-2015 | (−) | (0) |
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大まかに8000フレームで1イベント、10000フレームで2イベントということになりそうで
す。1枚あたり60秒の撮像時間と考えると、10000枚は約170時間となります。このくらい
観測すれば1-2イベント検出できるのではと期待できます。仮に240時間(10日)で1イベン
ト起こっていれば、年間では30イベント以上となります。
観測数は木星が北半球で夏にめぐって来ると増える傾向にあります。木星の衝が春から夏
へ移る来年以降に期待したいと思います。
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[図1] 名寄での観測風景(今年3月) |
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