天文ガイド 惑星サロン2015年8月号 (No.155)安達 誠

白とびした惑星の動画

天文の活動をしていると、観望会を依頼されることがしばしばあります。 もちろん本当の星空を見ていただくのが一番いいのですが、希望された日が晴天になるという保証はなく、天気が曇れば、何か見せものを用意しておかなくてはなりません。 そのため、毎回その日の星空や惑星の様子・新しい天文ニュースをプレゼンにして準備しています。

月や惑星の場合、スチール画像でもいいのですが、動画だと臨場感があって、見ている人の声も違います。 ですから、観望会の少し前にはなるべくビデオで惑星などを撮影しています。 撮影は、きまってハイビジョンのビデオカメラをアダプターで取り付けてのコリメート撮影です。

撮影の時によく起こる問題は、惑星の大きさ(拡大率)を小さくしてしまい、白とびした、模様のない惑星を撮ってしまうことです。 なるべく大きく撮像することによって白とびはかなり防げますが、大きくできない場合、惑星が明るすぎ、飛んでしまうということがよく起こります。 ウェッブカメラのようなゲイン調整は困難です。撮影するとき、拡大率をかえずに光量を加減するというのは大変ですね。 以前はフィルターを使っていましたが、ぴったりという光量にはなかなかなりません。 おまけにカメラが勝手に露出を決めるような設定だと、イライラしてしまいます。

どうにかできないかと悩んでいた時ひらめきました。 ドームを回転させて筒先を隠し、広さを加減するのです。 拡大率は同じままで、光量は無段階変更可能です。 ただし、像の鮮明さは・・・。 白とびよりははるかにましでした。 以来これは、私の常套手段となりました。

[図1] 白とびとその調整の実例
左は白とびした火星。右は筒先の遮蔽によって光量を調整した木星。

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