今年は、事実上火星のオフシーズンとなっています。この期間を利用してMRO(マーズ・リ
コナッサンス・オービター)の公開画像を調べると、面白いことがいくつも見つかりまし
た。ここでは、この春に見つけたものを、ひとつ紹介したいと思います。
2015年2月から3月にかけてのひと月半の間に、北極冠から南に向かって、寒気の吹き出し
が何度も見つかりました(図1)。通常、逆三角の吹き出しとなって見られます。調べてみ
るとこの期間に、2月は12日と24日、3月は4日・8日・13日・20日・24日・26日の合計8回
見つかりました。いずれも1日か2日間見られ、その後は分からなくなる、短期間の現象で
した。
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[図1] 今回見つけたMROによる寒気の吹き出し |
画像の上部に見られる。 |
MGR(マーズ・グローバル・サーベイヤー)の画像に見られるような(図2)北極冠からの寒気
の吹き出しは、珍しいものではありません。しかし、面白いのは、これらの寒気の吹き出
しが、いずれも西経180°の場所で起こっているのです。限られた同じ地域に起こるので
すから、何か地形的な原因を考えたくなりますが、地形図を見ても、それらしき地形が見
つかりません。北極冠には巨大な谷がありますが、谷の口とは経度が違っています。模様
との関係を考えるのですが、それとて直接の原因かどうかはっきりしません。一体何が原
因なのか、いろいろ考えながら調べることは面白いものです。
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[図2] MGSによる画像 |
寒気の吹き出しが見事にとらえられている。 |
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