シーイングの悪い冬季の惑星観測にはどうしても画像復元処理が必要です。復元処理には
ノイズの少ない元画像が必要になります。惑星画像の解析に必須のフリーソフトWinJUPOS
には自転補正機能(De-rotation of images)があり、この機能を使えば自転による模様の
ズレがなく、大幅にノイズの軽減された合成画像を得ることができ、画像復元へとつなげ
ることができます。
私は撮像の際にカラー情報のないグレーモードのRAW画像を取り込み、画像処理の段階で
Debayer処理を施しカラー化しています。グレーモードの画像はファイルサイズが1/3にな
るので、高速シャッターを使えるとともに1秒当たりの画像取得数(fps)の増加にもつな
がります。実際、解像度800×800でfps約64を得ることができますので、80秒間でフレー
ム数約5000を獲得できます。この方法で、シーイングの変化を無視して連続9回撮影しま
す。
そのあとAutoStakkert!2を使い約40%をスタックし、Registax6でウェーブレット処理をし
ます。AutoStakkert!2はColor設定をAuto Detectに、More file optionsでRegistaxに
チェックを入れておけば自動的にDebayer処理を行い、さらにスタックした画像を
Registaxに送り込んでくれますので便利です。個々の設定値も引き継いでくれますので処
理の能率があがります。
Registaxでのウェーブレット処理は原則レイヤー1のみを使い、スライ
ダーを100まで上げ、Sharpen値はDe-rotationでノイズが軽減されることを見越してでき
るだけ限界まで上げています。0.160〜0.300を使うことが多いです。Denoiseは使用しま
せん。
こうして得られた連続した6〜8枚の画像を使ってDe-rotation処理をします。いわゆるS/N
比を比べてみると1ショットで2000フレームの場合1/45、8ショット16000フレームで1/126
となるのでノイズの低減は劇的です。De-rotationで得られた低ノイズの画像は
StellaImage7を使ったマルチバンドシャープ処理や画像復元処理に十分耐えられる画像と
なります。
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[図1] 単画像と各処理画像との比較 |
左からRegistax処理後、De-rotation後、復元処理後の画像。 |
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