高度毎の風速と風向を視覚的に表示してくれ、シーイングが気になる惑星観測者に有益な
サイト、"Windyty"(https://www.windyty.com)を紹介します。Windytyは世界中の風向風
速を地上から上空13.5kmまで、15段階の高度別に1時間単位で視覚的に表示します。12日
先の予報まで表示されます。
気流の乱れは惑星観測の大敵です。冬の関東地方はシーイングが悪く、それは北西から吹
く季節風が関東地方の西から北に繋がる山岳を越える時に乱気流を発生させるためと言わ
れています。しかし、冬でも稀にシーイングの良い時もあり、何故かよく判っていません
でした。
Windytyを使えば高度別の風向と風速がわかるので、シーイングの良い時と悪い時の状態
を調べてみました。その結果、今までの想定通り、山岳地帯を通過した北西風が強い時は
シーイングが悪く、南西からの風の時はシーイングが良いことが明確になりました。関東
平野では周辺の山岳地帯が壁となり、1500m以下は風が弱まってシーイングへの影響は少
く、山岳の上を通過する上空2400mから3000mの風向と風速が大きく影響している様です。
図は、上空3000mが南西風だった3月17日と、北西風だった3月30日のWindyty画面と木星画
像を並べたものです。17日の写りはこの冬でもベストに近いものでした。
関東以外では地形などの状況は異なりますが、Windytyの過去データを活用し、風向・風
速とシーイングの良し悪しの関係を調べれば、シーイングの予想をすることも可能になる
と思います。シーイングの予想ができれば、仕事との兼ね合いで日々の観測が難しい観測
者でも、観測日を絞り込めると思われます。
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[図1] Windytyによる風向・風速と木星画像の比較 |
シーイングのよい時と悪い時では、上空3000m付近の風が大きく異なっている。木星画像は筆者による。 |
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