天文ガイド 惑星サロン2016年7月号 (No.166)山崎明宏

木星の第5衛星を撮影してみる

巨大なガス惑星である木星には、現在67個もの衛星が周回しています。有名なものは、も ちろんガリレオが発見した4衛星「イオ・エウロパ・ガニメデ・カリスト」ですね。明る さが5等星前後なので、小口径の望遠鏡でも木星を見ると、常にその周囲に見えます。で は、5番目の衛星は? 名前を「アマルテア」といいます。今回は木星の第5衛星を紹介し ます。

アマルテアは、1892年にバーナード星で有名なE.E.バーナードによって発見されました。 眼視で検出された最後の衛星でもあります。でも有名でないのは、第5衛星ながら明るさ が14.1等という暗さが理由です。小口径で見える明るさではなく、さらに軌道が、ガリレ オ衛星でもっとも内側を回っているイオよりさらに内側を公転しています。最大離角時で も、木星の視直径の倍程度ですから、木星の明るさに埋もれやすく、見たり撮ったりする 対象ではなかったようです。では、撮影は難しいのでしょうか? 試してみました。

3月28/29日は、ちょうど日付が変わる頃に東方最大離角になりました。しかも、この時間 はイオと木星の中間付近に位置するので、確認作業も簡単になります。撮影機材は、31cm 反射望遠鏡。PCカメラは最近流行のASI224MCです。露光は1秒。ゲインを調整し、飽和し て視直径以上に広がった木星の光芒のサイズを、衛星がいるのであろう位置のやや手前ま で広げてみました。モニタ上ではなにも見えませんでしたが、10分間の動画を撮影。これ を惑星画像と同じ手順でスタックし、Wavlet処理をしてみると、意外にあっさりに光の塊 が浮き出てきました。シュミレーションソフトで位置を確認すると、ピッタリ合います。 「お〜これがアマルテアか・・・意外と簡単」とうのが率直な感想です。木星もシーズン オフが近づいてきましたが、こんな楽しみ方もあります。なお、アマルテアの位置情報は、 「ステラナビゲータ」で確認できます。

[図1] 撮影に成功したアマルテア

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