天文ガイド 惑星サロン2016年8月号 (No.167)堀川邦昭

フランス・ニースでのプロアマ・ワークショップ

今月、2011年に打ち上げられた木星探査機ジュノーが、いよいよ木星の周回軌道に入りま す。アマチュアによる地上からの支援観測をテーマに、プロアマ合同のワークショップが 5月12-13日にフランス・ニースのコートダジュール天文台で開催され、月惑星研究会から も田部一志氏と筆者で参加してきました。

会場はニース市街に隣接する標高450mの山の上にある歴史のある天文台で、76cmの屈折望 遠鏡は設立当時、世界最大の屈折だったとのことです。天文台からは地中海とニース市街 が一望できるすばらしい眺めで、南仏の雰囲気を存分に味わうことができました。

ワークショップはスペインの天文学者フエソ(Hueso)博士がホストで、オートン(Orton)博 士、サンチェスラベガ(Sanchez-Lavega)博士、ヤナマンドラ・フィッシャー(Yanamandra- Fisher)博士といった木星を研究している第一線のプロと、月惑星研究会のALPO-Japan LATESTのサイトでおなじみの、ヨーロッパを中心とするアマチュア惑星観測家、合わせて 約30名が一堂に集まりました。アマチュアの主な顔ぶれとしては、英国天文協会(BAA)の ロジャース(Rogers)博士を初めとして、ピーチ(Peach)氏、ペリエ(Pellier)氏、デルクロ ワ(Delcroix)氏、ベドバト(Vedovato)氏などで、フィリピンからゴー(Go)氏も参加してい ました。

参加者は15分の持ち時間で、それぞれの立場からさまざまな発表があり、筆者は月惑星研 究会の活動や歴史の紹介、田部氏は木星の閃光観測について発表を行いました。一口に言 って、国際版木星会議といった趣で、和やかな雰囲気の中で活発な意見の交換が行われま した。

今回参加して改めて認識できたのは、月惑星研究会のWebサイトは世界でも有数の惑星画 像のアーカイブとして、プロからも非常に高い評価を受けているということです。ジュノ ーのミッションでも、地上支援の観測としてプロからも高い関心が寄せられていますので、 国内でもこれまで以上に木星観測に力を注ぎたいものです。

[図1] ワークショップの記念写真
後列中央に田部氏、後ろから2列目左端が筆者。

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