天文ガイド 惑星サロン
2018年1月号 (No.184)
堀川邦昭

ジュノーから見たmid-SEB outbreak

2017年の木星はmid-SEB outbreakがとても活動的でした。 探査機ジュノーの画像で見るoutbreakがどんな姿か、近木点通過(PJ:PeriJove)時の画像を眺めてみました。

図1は2月のPJ4の画像です。 キノコ形の黒い模様が写っていますが、範囲が狭くてよくわかりません。 地球からの画像と比較すると、キノコ模様は矢印の暗柱を捉えているようです。 木星の攪乱で見られる暗い模様は、雲の切れ間と言われていますが、画像でもそんな風に見えます。 発生初期の第2発生源がすぐそばにあるのですが、残念ながら画像には写っていません。 最も接近する赤道近くの画像は、広い範囲を見るには不向きなようです。

図2は10月のPJ9の画像です。 合の直前で、地球からはまったく観測できませんから、とても貴重です。 上に南南温帯縞(SSTB)の白斑A5があるので、II=0°付近とわかります。 南赤道縞(SEB)は一番下で、下端近くで左にたなびいているのがoutbreakと思われます。 現在も活動が続いているようです。 この画像はやや広い範囲が写っていますが、極側から撮っているため、outbreakは画像の端になっています。 outbreakを観察するには、何とも不便な軌道です。

画像では中央下に濃い縞が見えます。 大赤斑から伸びるストリーク(dark streak)の一部のようです。 大赤斑から270°も回ったところでもこれほど顕著ですから、おそらく先端は一周している思われます。 これも非常に貴重な観測と言えます。

[図1] PJ4で捉えられた暗柱
南が上。下は地球から撮られた同日の画像。
[図2] 合直前の木星(PJ9)
南が上。白斑はA5。中央にストリーク、下端がoutbreak。

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