天文ガイド 惑星サロン
2017年12月号 (No.183)
水元伸二
木星観測者列伝:A.スタンリー・ウィリアムズ
アーサー・スタンリー・ウィリアムズ(Arthur Stanley Williams 1861-1938 イギリス)、職業は弁護士でT.E.R. フィリップスと共に「木星観測の父」と呼ばれる存在です。
17cmニュートン反射望遠鏡で木星を連続観測して1896年に「異なる緯度での木星表面模様のドリフト」と題するリポートを発表、木星の緯度ごとの自転周期を明らかにし、帯状流(Current)の考え方を確立しました。
その観測方法は斑点などの模様が木星輝面の中央を通過した時刻を測定し、その時刻から模様の経度を求め、さらに自転周期を計算するというもので、CMT(Central Meridian Transit:中央子午線経過)観測と言われています。
木星観測に特別な機器を用いることなく数値的要素を取り込んだ画期的な観測方法で、以後イギリス国内だけでなく世界へと広まりました。
生涯を通じての木星帯状流に関する研究や、南北赤道縞の色の変化に関する研究などの他に変光星の観測も行っていて多くのリポートを学会誌に発表しています。
また今日用いられている木星や土星の帯縞の名称の付け方も彼によるものです(1898)。
月と火星のクレーターに"ウィリアムズ"の名が付けられています。
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[図1] A.S. ウィリアムズ |
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[図2] 1888年の大赤斑付近のスケッチ |
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[図3] 1889年の観測による自転周期 |