フレデリック・ジェームス・ハーグリーブス(Frederick James Hargreaves、1891〜1970、イギリス)は、小さい頃から科学に興味を持ち、数々の科学関連の趣味を経験した後、写真の専門家、特許代理人などの職業に就いています。
20代前半にT.E.R.フィリップスと出会い、英国天文協会(BAA:British Astronomical Association)へ入会(1921)、急速に天文学、特に木星の観測に傾倒していきました。 写真知識の豊富さから写真部門の課長(1926-37)、理事を経て会長(1942-44)に就任し、また王立天文学会(RAS:Royal Astronomical Society)の会長も務めています。 反射望遠鏡の鏡面製作の名手でもあり、光学知識も豊富で、後に光学器械会社を設立しています。
T.E.R.フィリップス譲りの正確で精細なスケッチは私もよく模写したものです。 長年にわたって木星観測を継続、生来の科学的思考と特許代理人として培われた批判的思考は、観測や解析に遺憾なく発揮されました。 彼が活躍した時代は英国天文協会木星課の黄金期で、T.E.R.フィリップスを始めB.M.ピーク、A.S.ウィリアムス、などのそうそうたるメンバーがそろい、互いに切磋琢磨して今日我々が知っている木星面の様々な現象を発見・解析し、後世に残してくれました。
月面クレーター"ハーグリーブス"は彼にちなんで名付けられました。 著書に"The size of the universe"(1948、Penguin Books)があります。
[図1] F.J. ハーグリーブス |
後ろは30cmカルバー(イギリスの反射鏡製作者)反射望遠鏡 |
[図2] F.J. ハーグリーブスのスケッチ |
左:1928年9月8日、南赤道縞攪乱の暗斑群が見える。右:1932年4月11日、今よりずっと大きな大赤斑が見える。 |
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