西郷星と言えば、西南戦争の最中の1877年(明治10年)に大接近した火星のことを指します。 しかし、その12年後の1889年(明治22年)春にも西郷星が現れたことが高橋伸幸著、「誰も書かなかった西郷隆盛『裏』伝説」に紹介されています。
1877年(明治10年)の1月に西南戦争が勃発し、3月の田原坂の戦い後、劣勢になった西郷隆盛が転戦を繰り広げました。 しかし起死回生は叶わず、9月24日西郷らが自刃して終結しました。 その間、7月の末頃には真夜中に火星が南東の空に昇るようになり、9月3日に地球から5千300万kmまで大接近をしました。 この大接近した火星が「西郷星」と呼ばれました。
1889年の方は、高橋伸幸氏によると「この年の2月11日、大日本帝国憲法が発布された。 その際に大赦があり西郷の賊名が除かれ、明治天皇より正三位を追贈された。 つまり、この時の西郷星は、賊名を除いてくれたお礼のために出現した、と人々は解釈したのだ」ということです。
そこで、"Cartes du Ciel"で1889年1月、2月、3月の11日、夜6時の西の空を再現しました。
光度1等級の火星の上に-4等級の金星が明るく輝いています。 そして、金星は1月11日に高度約25度だったのが、3月11日には約40度と昇ってゆきます。 火星も見えていますが、金星の方がはるかに明るいことから、西郷星と呼ばれたのは金星のようです。
[図1] 1889年1月、2月、3月の11日、午後6時の西の空 |
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