高解像度惑星撮像の必須アイテムADC(大気分散補正プリズム)。 天文向けのCMOSカメラで有名なZWO社が低価格で発売して以降、巷の惑星画像の質が確実に向上したと感じています。 ただ、調整方法を感覚的な手法に頼っている方が意外に多いことも分かりました。 火星大接近のこの年、機材を新調して撮影に望む方も多いと思いますので、簡単かつ確実な調整方法をご紹介したいと思います。
撮影用ソフトで有名なFireCaptureには、実はADCの調整機能があります。 今回はこの機能を利用しますが、色の分散具合を測定するため、少なくても補正時はカラーカメラが必須です。 さて、その手順ですが、対象となる惑星を導入した後、FireCapture画面のアイコン(画像参照)にチェックを入れると、小さい赤と青の円が表示された調整画面が開きます。 各円が現在の色ズレを表しています。 この状態から、ADCのレバーを動かして、2つの円が一致するように調整していきます。 この時注意するのは次の2点です。 @ ADCの水平をおおまかに合わせておく。 A ADCのレバーを交互に少しだけ動かす。 レバーは2本あるので、各レバーの操作で各円がどの方向に変化するかを確認しておきます。 また、レバーを動かすと対象が視野内を移動しますので、一気に動かすと対象が画面から飛び出して見えなくなる場合があります。 レバー調整→位置調整→レバー調整・・・を繰り返して追い込み、だいたい一致すれば終了です。 慣れれば1分ぐらいで調整できますので、とても便利な機能だと思います。 まだ使われていない方は、ぜひお試しください。
FireCaptureの入手先:http://www.firecapture.de/
[図1] FireCaptureのADC調整画面 |
惑星は通常、横方向=赤経としますが、地平線と平行にすると、大気分散が縦方向のみの変化になり、調整し易くなります。微動操作は、ちょっと面倒になりますが・・・ |
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