月惑星研究会のWebサイト(http://alpo-j.asahikawa-med.ac.jp/Latest/)を見ると、美しいカラー画像の他に、いろいろなフィルターによる画像が掲載されています。 これらは木星面の色調だけでなく、有用な情報をもららしてくれます。
例えば、青画像は他の波長に比べると、暗くて細かい模様が見られません。 これは上空のヘイズ(霞)が短い波長を吸収するためで、青色光だとヘイズが邪魔になって下の雲が不鮮明になるというわけです。 一方、赤や赤外ではヘイズの影響はないので、雲の微細な模様がよく写ります。 本来白いはずの木星のアンモニアの雲が薄黄色や赤茶色に見えるのも、ヘイズが青い光を吸収するせいです。 また、今年赤道帯(EZ)が薄茶色に濁っている現象は、ヘイズの層が厚くなっているためと考えられます。
メタンバンドと呼ばれる波長890nmの赤外線だけを通すフィルターで撮像された画像も重要です。 木星大気に含まれるメタン分子は、890nmの光を吸収する性質があります。 木星の高い所にある雲は、太陽光が木星大気を通過する長さが短いので吸収量が小さく、低い雲では反対に吸収量が大きくなります。 したがって、波長890nmによる木星像の明暗は、雲の高低を反映し、高い雲は明るく、低い雲は暗く見えるのです。
このように、フィルターを用いた画像は、木星大気の鉛直構造に関するヒントを与えてくれるといえます。
[図1] いろいろなフィルターによる木星面 |
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同じ日に撮像された木星で、左から青、赤、メタン(890nm)のフィルターを用いた画像。大赤斑や赤道帯(EZ)で明暗が大きく異なる。これらは大気の鉛直構造について有用な情報を与えてくれる。撮像:クライド・フォスター氏(南アフリカ、35cm) |
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