天文ガイド 惑星サロン
2020年1月号 (No.208)
山崎明宏

ボールレンズアイピース

今回は、単レンズで自作したアイピースをご紹介します。 使用したのは、球状のボールレンズです。 前々回ご紹介したSiebertさんは、このレンズを使って火星を観察したところ、南極付近の小白点がZeissのオルソやTMBのスーパーモノセントリックより、はっきり見えたと報告しています。

さて、実際のところはどうでしょうか。 このレンズの焦点距離は図の式で計算できます。 今回は、Edmund Opticsから購入した、直径6mmの石英レンズを使用しました、 焦点距離は4.8mm、バックフォーカスが1.8mmです。 ただし、有効視野は10°程度しかありません。 レンズを収納する筒は、前回ご紹介したSR4mmを利用しました。 見口側が5mm。中のレンズを取り外すと、6mm強の空間が確保できるので、このボールレンズにピッタリです。

さて、今回も月を見てみました。 最初の印象は、周辺部の歪みの酷さが目につきます。 でも、ピントを正確に合わせていくと、中心部がしっかりと見えてきました。 無コーティングですが、前回のSR4mmのように、視野全体が明るくなることはありません。 ただ、見慣れてくると解像度がイマイチです。球面収差が相当量あるので、その影響でしょうか? コントラストは上々で、クレータ内壁の段々模様の明暗、色合いは明瞭です。 ただ、それを考慮しても、秀でた点を見出すことはできませんでしたが、Siebertさんの言葉を信じて、来年これで火星を見るつもりです。

[図1] 色々なサイズのボールレンズ
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