日本天文学会の創立100周年記念として発刊された「シリーズ現代の天文学」(日本評論社)が第2版へと生まれ変わっています。 第9巻「太陽系と惑星」は、最近の探査ミッションの華々しい活躍を背景に、最新の知見をふんだんに盛り込んだものとなりました。 何しろ第1版の発刊は、はやぶさが小惑星イトカワに到着したすぐあとのこと。 それ以降、日本の太陽系探査だけでも「かぐや」月探査、「はやぶさ」のサンプルリターン、「あかつき」金星探査、「はやぶさ2」小惑星リュウグウ探査、「ベッピコロンボ」水星探査(欧州との共同計画)が実現しているのです。 これを聞いただけで、第1版が古くなったことが理解できます。
私が担当した第3章「木星型惑星」では、特に周回機ミッションの威力(木星のガリレオとジュノー、土星のカッシーニ)を感じることができます。 私たちが望遠鏡で雲の模様を観察する表層だけでなく、巨大ガス惑星の内部構造はじっくりと周回してこそ調べられるわけです。 意外なことに土星の自転周期も実はまだ大きな不確定性があり(理科年表の数値を年毎に追うと分かります)、周回ミッションがそれをどのように改善しているかなど「読み物」としての面白さも意識して書きました。 また、惑星を訪れる直接探査ではないものの、日本の宇宙望遠鏡である惑星紫外線分光ミッション「ひさき」の活躍が含まれていることも、関係者としてとても誇らしく思うところです。
[図1] 第9巻「太陽系と惑星」 |
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