天文ガイド 惑星サロン
2023年3月号 (No.246)
堀川邦昭

木星で起こる現象の周期性(3)

木星面で起こる現象の周期性を紹介するシリーズ、3回目は北赤道縞(NEB)の拡幅現象です。 これはNEBが北側に拡張し、ベルトが幅広くなる現象で、ベルト北縁が北緯20°付近まで広がります。 最初の発生は1988年で、これまでに10回観測されています。 木星面では比較的新しい現象です。

周期は3〜5年と幅があり、近年は3年前後とやや短かめの傾向です。 2015年は拡幅が中断した後、2年足らずで次が始まったので、2017年と合わせてひとつの活動とするべきかもしれません。

他の現象のようなシステマチックな活動が見られないのが特徴で、NEBの各所で同時多発的に活動が起きて拡幅が進みます。 隣のNTBs outbreakと同時期に発生することがあり、北半球の広い範囲が激しい攪乱活動に見舞われます。 発生の原因はよくわかっていませんが、NEB内部のリフト活動が引き金になっている可能性があります。

現在のNEBは異常に細い状態から、ようやく元に戻ったところです。 このまま一気に拡幅するかどうか、今年がヤマ場となります。

[表1] 2000年以降のNEB拡幅現象
*は不正確
[図1] 拡幅が進行中のNEB
2004年4月の木星面。中央右でNEBの拡幅が進行中で、北縁に大きな暗部が並ぶ。撮像:宮崎勲氏(沖縄県、40cm)

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