木星は10時間足らずで高速自転しているため、数分間の撮影でも模様が移動してしまいます。 自転による模様の移動をキャンセルして補正してくれるソフトがWinJUPOSのDerotation(自転補正)機能です。 時差のあるショット画像を同じ経度で揃えてくれ、最終的に総フレーム数を増やすことができ、ノイズを減らし、高解像惑星撮影に無くてはならないソフトになっています。
ところが、ガリレオ衛星が写野に入ると、模様の移動速度と衛星本体や影の移動速度が違うため、衛星や影が棒状に描き出され、やや見苦しい木星像となってしまうのでした。 衛星と影を別に処理した後、合成する方法も取っていましたが、やはり面倒で、できればしたくないのがホンネでした。
2022年夏のWinJUPOSのバージョン12.1.0では、木星本体より外にあるガリレオ衛星を観測時の位置へ描いてくれる衛星補正が付きました。 この時点では木星本体上を通過する衛星と影は対象外でしたが、秋のバージョン12.2.1に、木星面上の衛星と影の補正が追加されました。
WinJUPOS→Tools→De-rotation of images→Options→Correction of the planetary moons and their shadowsで機能します。 画像測定時に衛星や影のアウトラインを合わせておく必要があります。
2022年10月22日の衛星イオとその影が木星面上を通過中の画像をDerotation処理してみました。 イオとその影が確実に止まって描き出されています。 見事です!感動です!ブラボーです!
[図1] WinJUPOSによる衛星補正 |
上:衛星補正で処理したイオとその影。下:衛星補正無しで処理した画像。12分間にわたる7画像をDerotation処理。 |
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