天文ガイド 惑星サロン2003年12月号 (No.15)伊賀祐一

惑星組画像の楽しみ

私はかねてから、太陽系内の全ての惑星を1枚の組画像にしてみたいと思っていました。それも、同じ光学系を用いて、ほぼ同じ時期に撮影したものであることが条件です。私は1975年に10cm反射+Tri-X+コンポジット法で、同一夜の金星・火星・木星・土星を組画像にしたものが、本誌の読者の天体写真コーナーの初入選だったというのが、今でも挑戦したい気持ちにさせるのかもしれません。

このような画像を得るためには、もちろん惑星が見えている条件が整わないといけませんが、金星・火星・木星・土星の4大惑星をねらうのであれば、比較的に簡単かもしれません。これらに加えて、天王星・海王星を含めると対象がずいぶんと暗いものになります。今回の場合は天王星・海王星が火星の近くに位置していたことが好都合でした。

内惑星である水星を撮影するためには、昼間に導入可能な望遠鏡でなければ、西方最大離角で明け方の東空に昇ってきた時がチャンスです。特に9月-10月の西方最大離角時には黄道が地平に対して大きな角度になり、多少でも撮影時の高度を稼ぐことができます。残念ながら金星は外合から間がなく、夕方の西空に低かったので対象外になりました。もちろん、冥王星は14等級ですから、ToUcam Proでは暗くて対象になりませんでした。

他にも気象条件に恵まれる必要があります。もちろん1晩中晴れてくれれば理想ですが、シーイングの影響を考えると、今回のように9月下旬に連続して4日間晴れた機会をものにしました。また、水星は東空か西空が地平まで開けていないといけません。最後に、この時火星は-2等級でしたが、最も暗い海王星は8等級で、ずいぶんと明るさの異なるものが対象になります。今回使用したToUcam Proでは、シャッター速度とゲインを調整して対応することができました。

こうして惑星を組画像にすることで、惑星による視直径や色の違いを認識できます。天王星・海王星は大きさが2-3秒しかありませんが、見事な青緑色を見せてくれます。また、今年のような火星の大接近に恵まれれば、地球の隣の赤い惑星の魅力を感じます。


画像1 6惑星
2003年9月26-28日に撮影した画像を黄経の順に並べたもの。
撮影/伊賀祐一(京都市、28cmSCT) (拡大)

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