天文ガイド 惑星サロン2004年3月号 (No.18)伊賀祐一

土星探査機カッシーニに注目
今年の7月1日頃に、NASAの土星探査機カッシーニが土星に到達します。カッシーニ探査機は1997年10月に打ち上げられ、木星重力のフライバイを利用するために2000年10月には木星に接近し、数多くの詳細な画像を送ってきました。打ち上げから6年半を経て、ようやく目的の土星探査を迎えます。このカッシーニ探査機は土星の周回軌道に入り、4年間ほどの観測が予定されています。

画像1は、カッシーニ探査機が2002年10月21日に2億8500万kmの距離からテストを目的として撮影したものです。土星の自転軸は27度傾いており、斜めに太陽に照らされ、本体の影がリングに長く伸びて、地上からは決して見ることのできない光景です。

カッシーニ探査機にはもう一つの目的があります。それはESAのホイヘンスと呼ぶプローブで、太陽系最大の衛星であるタイタンを調査します。2005年1月14日頃に、ホイヘンスは窒素やメタンの大気を持つタイタンの大気に突入して、データを地球に送ってくることになっています。

アマチュアの観測も、技術の進歩でこれまでとらえにくかった小さな白斑や暗斑の活動が分かるようになってきました。土星はこれまで想像していたよりも活動的です。カッシーニ探査機によって、どんな驚くような情報が得られるのでしょうか。

画像1 カッシーニ探査機の画像

地球と太陽の2倍の距離から撮影
画像提供/NASA

画像2 地上からの土星

撮影/池村俊彦(名古屋市、31cm反射)

前号へ INDEXへ 次号へ