このコーナーの第2回目で紹介しましたが、1971年に木星観測を始めたばかりの夏に、木星面での最大イベントであるSEB Disturbance(撹乱)が発生しました。6月21日にBAAのW.E.Foxが発見した撹乱でしたが、7月20日にさらに2次撹乱が続けて発生しました。私自身が乏しい知識の中で撹乱だと理解できたのは、もっと後の8月上旬のことでした。夢中でスケッチを取り続けましたが、本来は平行な縞模様である木星面が、とんでもない複雑な姿を示していました。最近になってムードン天文台でアーカイブされている画像から、当時の様子を伝える画像が見つかりました。この年の撹乱は、SEBnを波及する北分岐の活動が盛んで、EZsにまで大きく侵食する白斑が特徴的でした。
その後も、1975年、1990年、1993年とSEB撹乱が発生していますが、ここまで衝撃的だったものはありませんでした。前回のSEB撹乱の発生から11年、ほぼ1木星年が経とうとしています。まだまだSEB撹乱が起こる前段階の兆候もありませんが、新しい技術であるWEBカメラで現象を詳しく追跡したいと願っています。
画像1 1971年のSEB撹乱 (左)米国LPL、(中・右)伊賀祐一(10cm反射) (拡大) |
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