惑星のRGBカラー合成画像が一般的手法になる以前、カラー画像はポジカラーフィルムを多用していた。カラーフィルムでの惑星画像は数秒の露出時間や狭いラチチュードの為かコントラストのある高解像度像を得るには難しいものがあった。それを解消したものが白黒フィルム(Tri-X,プラス-X)にRGBフィルターを付けて撮ったRGB写真からのカラー合成方法であり、この画期的なカラー合成方法をアマチュアで行ったのは渡辺正明氏であった。
当時、18cmの口径では脅威の木星のカラー画像と記憶している。今では大変面倒な作業と思われるが当時の機材ではこの方法はベストであり、これ以外は考えられなかった。撮影はTri-XやプラスXの白黒フィルムにRGB(Rの感度が弱いのでオレンジフィルターを代用)フィルターを付けて惑星(露出は数秒)を撮り、増感現像を行う。粒子の粗い惑星フィルムは各色とも5〜10枚のコンポジット合成白黒写真を作る。この時の惑星画像のリムはカラー合成の際、色ズレが少なくなる様、極力覆い焼きのテクニックを多用する。
次に3色の白黒写真はカラーフィルム(ポジカラー)でR写真にはRフィルターを付けるなどの3色の多重露出し、フィルムの中でカラー合成を行う。3色の位置合わせや各々の適正露出時間など試行錯誤であったが、その成果はすばらしかった。今でこそパソコンで簡単にカラー合成が出来上がってしまうが基本的なものは変わってはいない。
画像6 3色合成の木星 データ/1985年8月9日、32cm反射、Tri-X R(O):13h58mUT(5枚)、G:14h01mUT(6枚)、B:14h04mUT(8枚) (拡大) |
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