天文ガイド 惑星サロン2005年10月号 (No.37)伊賀祐一

最近の惑星用WEBカメラ

2003年の火星大接近の年に、それまでの惑星観測の手法を一変させたのはWEBカメラの登場でした。特にPhilips社のToUcam PROカメラは高感度であり、パソコンとUSB接続するだけで簡単に惑星の動画撮影を行うことができますので、日本だけではなく世界中の惑星観測者が採用しました。もちろん、フリーソフトウェアのRegistaxによって、良像判定・位置あわせ・スタック処理が自動的に行われ、さらに強力なウェーブレット画像処理が利用できるメリットも、普及への大きなパワーとなりました。

誰もが高品質の画像が得られるようになると、新しいことにチャレンジしたくなります。木星ではメタンバンドや紫外域での撮影を、火星ではきちんとフィルターを使ったB光での撮影などが目標です。この目的に、ATiK Instruments社のATKシリーズのWEBカメラを使用する人が増えています。ToUcamカメラより高感度のモノクロCCD(カラーCCDもある)を採用し、長時間露光が可能なタイプです。操作性はToUcamと同様ですが、価格は4万-7万円ぐらいです。さらに高機能な機種としては、Lumenera社(カナダ)のLu075カメラがあります。高感度CCDはもちろんですが、低ノイズで、転送がUSB2.0対応なので非圧縮画像が得られます。ただし価格は11万円ぐらいです。なお、Philips社もUSB2.0対応のToUcam PRO-III(SPC900NC)を発売しました(1.5万円ぐらい)。

ATiK Instruments
http://www.atik-instruments.com/
Lumenera
http://www.lumenera.com/

画像1 最近注目される惑星用カメラ

左:ATK-1HS II(ATiK Instruments)、右:Lu075(Lumenera)

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