木星を紫外域(225nm)やメタンバンド(889nm)で撮影すると、どのようなことが分かるのでしょうか。木星は分厚いガスの大気でおおわれていますが、通常の可視光で見えているのはアンモニア・硫化アンモニア・水からできている雲です。巨大惑星ですが、これらの雲の厚みは40-50kmぐらいしかありません。紫外域やメタン画像では、これらの雲のさらに高層の様子を知ることができます。
全てのガスは太陽光を短波長ほど強く散乱しますが、これが地球で空が青く見える理由です。紫外域ほど散乱は強くなり、木星でも同じことが起こります。そのため、紫外域画像では暗い縞模様は消えてしまい、木星面全体が明るく写ります。ただし高層にヘイズがあれば、明るい背景に対して暗く写ります。
メタンバンドではこれとは逆で、雲の上空にあるメタンガスは太陽光を強く吸収するので、木星面は暗く見えます。同様に暗い縞模様は見えなくなりますが、高層のヘイズは暗い背景に対して相対的に明るく見えることになります。特に極付近と赤道に顕著に現れますが、大赤斑やSTB白斑は明るく写ることから、これらの模様は高層まで突き出た現象であることが分かります。
画像4 カッシーニ探査機の可視光(B)、紫外、メタンバンド画像 画像提供 NASA/JPL (拡大) |
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