今シーズンの土星は9月5日が合なので、観測シーズンは終わりに近くなっていま
す。来年の話をすると鬼に笑われそうですが、来年の土星は15年ぶりに環が水平
になり、地球から見えなくなる年なので、環の消失を期待しているマニアも多い
と思います。
地球から環が見えなくなるタイミングは2回あります。その一つは環の面が地球
の方向に向く時で、2009年9月3日頃です。別のタイミングは、太陽光が環に水平
に当たる時で、8月6日頃です。
しかし、2009年の土星の合は9月下旬なので、どちらも土星は太陽に近い位置な
のです。8月6日頃でも土星と太陽の離度は36度で、環の消失はアマチュアの望遠
鏡で観察するのは、無理そうです。
しかし、地球の公転軌道の傾きは、土星の軌道の傾きと異なっているので、今年
の年末に、環の傾きが小さくなるタイミングがあります。
土星の視直径と環の幅方向の視直径の変化をグラフにしましたが、それを見ると、
今年の9月の合から土星本体の視直径は増加し始めますが、環の幅はその後も狭
くなって行きます。
それは、その頃に地球の公転軌道が、太陽系の南に傾いているので、地球が土星
の環がより水平に見える方向に動くからなのです。計算した結果、今年の年末に
は環の幅の視直系は0.6秒まで小さくなります。0.6秒だとアマチュアの望遠鏡で
も、充分に確認できる幅ですが、ほぼ直線的に見えるでしょう。
来年の合直前では環の消失は確認できそうも無いですが、その前に今年の年末に
細くなった土星の環を楽しめるでしょう。その時には衛星の観察も面白いし、ま
た土星本体に落ちる環の影を監察するのも面白いと思います。
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