天文ガイド 惑星サロン2008年10月号 (No.73)三品利郎

土星の“お供”はどこへ

来年は、国際天文学会、ユネスコと国連が定めた、世界天文年(International Year of Astronomy)です。これは、ガリレオが初めて望遠鏡で天体を観測してか ら400年になることに因んだものです。

ガリレオが最初に望遠鏡を向けたのは月でした。「最初に月を見たが、すぐ近く、 地球半径のほぼ2倍しか離れていないようだった」(*1)と、「星界の報告」に書 き残しています。

ガリレオが土星を見たのは、1610年7月25日(*2)でした。そして、"oOo"の形 に見えたと記録(*3)に残しました。土星は両脇に"お供"を従えた三連の惑星(*4) だと、ガリレオは考えたようです。

2年半後の1612年の12月、久々に土星を見たら土星の"お供"が姿を消しており (*3)、彼は当惑しました。間もなく、それが復活したらしいことに気づき、改め て土星に興味を持ち観測を始めたようです。

1616年には、はっきりと楕円の環を認識(*4)しています。彼はそれを、"取っ手" (英語でハンドル)(*3)と表現しました。

それでは、惑星観測の支援ソフトの WinJupos(*5)で、ガリレオが見た土星を描 いて(図1)みましょう。1610年7月には北から土星の環が見えていました。1612年 12月は、薄い環のエッジが地球に向き、環が見えなかったことが判ります。ちょ うど、今年から来年は、土星の環がこのような状態になります。そして、1616年 10月には、南から開いた環が見えていたことが判ります。

<参考文献> *1 山田慶児 他訳 岩波文庫「星界の報告」、1976年、岩波書店 P16 *2 "Galileo biography" School of Mathematics and Statistics University of St Andrews, Scotland http://www-history.mcs.st-and.ac.uk/Biographies/Galileo.html *3 "The Galileo Project" http://galileo.rice.edu/sci/observations/saturn.html *4 Baalke, Ron. "Historical Background of Saturn's Rings" http://www2.jpl.nasa.gov/saturn/back.html *5 "JUPOS" http://jupos.privat.t-online.de/

[図1] ガリレオが見た土星
WinJupos V8.6.0で作成


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