天文ガイド 惑星サロン2011年2月号 (No.101)安達誠

1993年のSEB復活劇の観測

1993年当時、新居を建てるつもりで契約した土地が買えなかったことが原因で、 新居ができるまでの数ヶ月間マンション暮らしに陥っていました。それまで、自 宅のガレージにあった望遠鏡は置くところがなくなってしまいましたので、自宅 から車で5分くらいの高台に移設して、知り合いから譲り受けたテントドームで の観測となっていました。1993年のSEB攪乱はそんなときに起こりました。

必死になって毎晩、攪乱の見える時間をねらって観測に行きました。木星は自転 周期の関係で、同じ経度を見ようとすると、翌日は4時間前に観測しなければな りません。4月10日は午前2時、翌11日は午後10時、翌々日の12日は午後7時、と いう具合です。この年は、なんとラッキーなことに、毎晩のように観測ができま した。といっても、好天が続いたのではありません。天気予報は曇りだったり、 曇り時々晴れだったりと、よくない予報が出ていました。天気予報を見て一喜一 憂したものです。

この頃は、仕事もありましたが観測が楽しみでした。仕事から帰ると、頭の中に 攪乱のことが渦を巻いていました。予報を見て天気がダメとわかっていても望遠 鏡のそばに出かけたものです。すると、奇跡的にも晴れ間が出てくるのです。も う、ぞくぞくする瞬間です。4月10日から27日までの17日間に14日間の観測がで きました。

今回の攪乱を見ながら、懐かしく思い出しています。


[図1] 1993年のSEB攪乱
右側のリム近くにある大赤斑のすぐ左にSEB攪乱の最初の暗柱が見られる。
筆者のスケッチ
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