2009年と2010年には、世界中の天文ファンが驚く出来事が立て続け起きました。
なんと、木星に直径数十mの小天体が衝突した痕跡や、まさに衝突する瞬間が3回
も観測されたのです。3回目は、2010年8月21日の明け方、熊本の立川正之さんや
東京都の青木和夫さんによって、小天体が木星に突入し閃光を発しながら衝突す
る瞬間が動画で撮影されました。その後、国内で他にも2名の方が同じ天体の衝
突を撮影していたことがわかりました。
2011年11月に開かれた国内の木星観測者を集めたフォーラム、木星会議でも、木
星閃光セッションとして、青木和夫さんの体験談から、国立天文台の渡部潤一先
生による科学的な観測価値の説明に至るまで、熱心なディスカッションが行われ
ました。渡部潤一先生は、「木星に衝突する小天体の様子を明らかにすれば、太
陽系の小天体がどのように分布しているかが解明できる。そして、それを解明す
ると、太陽系が生成されるプロセスの解明につながる」と述べておられました。
木星面の模様の変化を追跡する従来からの観測とは発想を変えて、木星に天体が
衝突して閃光を発する現象を検出することを目的とした、新たな観測も可能でな
いかとのアイデアが持ち上がりました。そして、国立天文台の渡部潤一先生や名
寄天文台の協力も得て、田部一志さんらが発起人となって木星の閃光を観測する
キャンペーンの企画が持ち上がりました。詳細は、改めて、惑星サロンでご案内
します。
今月、木星は夕方の空で、頭上高く、ひときわ明るく輝いています。木星は大き
くて見やすい惑星ですので、皆さんも、木星を望遠鏡でご覧になりませんか。そ
して、今はデジカメで簡単に動画が撮影できるので、木星の動画撮影にチャレン
ジしてみてはいかがでしょうか。もしかすると、2010年6月や8月に撮影されたよ
うな木星に小天体が衝突する現象が、捉えられるかもしれません。
|