天文ガイド 惑星サロン2012年3月号 (No.114)齊藤美和

木星閃光を狙え!

閃光観測計画マネージャーの齊藤美和です。木星閃光観測プロジェクトが始動し ました。国立天文台の三鷹キャンパスでは、三鷹光器製口径50cm反射赤道儀(直 焦点6030mm)に半値幅12nmのメタンバンド(889nm)フィルターを装着して、イメー ジングソース社のモノクロカメラDMK21AU618を用いて行います(写真1)。電気通 信大学柳澤研究室(亀井亮祐さん)が開発した閃光検出プログラム(Jovian Fishing)を用いてカメラの映像出力(USB)から、リアルタイムに閃光を検出しま す。今シーズンの木星はもう西に傾いていますので、観測の本格始動は2012-13 シーズンとなりますが、機材のチェック、ソフトのチューニング等の準備は着々 と進んでいます。

2010年に2回の閃光が観測されたことから考えて、ラフな見積もりですが観測時 間1000時間程度で1閃光見つかるのではないかと期待しています。複数箇所での 観測があれば閃光であることが確定できます。メタンバンドフィルターの有無に かかわらず、私たちが行う天文台での観測に、他の地での同時観測が行われれば 万全です。観測の予定や発見の朗報はTwitter@jpt_flsから告知します。来シー ズンは、ぜひ一緒に閃光を観測しましょう。

オフシーズンの間、撮像済みの木星動画に閃光が写っていないかチェックしてみ るのはいかがでしょうか。前述の柳澤研究室で公開している木星閃光検出プログ ラムには他に、録画済みのaviファイルから閃光を検出するJovian Checkerもあ ります。もし閃光画像を見つけたら、Twitterか、jf.manage@gmail.com までご 連絡ください。

「Jovian Fishing」と「Jovian Checker」はhttp://www.yanagi.ice.uec.ac.jp/ jupiter/j_index.htmlで公開されています。


[図1] 三鷹での観測機材(大川拓也氏作成)(拡大)

[図2] 50cm反射望遠鏡ドームでの観測準備の様子(拡大)
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