8月31日から9月9日までの間、「木星面での閃光現象を捉えよう!」キャンペー
ンに参加してきました。全国各地で木星を同時観測し、閃光現象を狙って捉える
という挑戦的な企画で、私は北海道大学の口径1.6m望遠鏡(ピリカ)での観測メン
バーとして参加しました。
ピリカは、北海道名寄市の市立天文台「きたすばる」に併設されていて、一般公
開もされています。名寄への道のりは、札幌で一日観光をしたので、家を出てか
ら約36時間もの時間がかかってしまいました。天文台に到着してまず感じたのは、
周りがとても暗いことでした。初日はあいにくの天気でしたが、晴れた日の夜空
はなんとも形容しがたいもので、さらに普段と緯度が異なるので、北極星の高度
がいつもと違うなど見慣れない夜空が広がっていました。
名寄では、夜1時〜5時まで観測のあと、6時過ぎから昼過ぎまで睡眠をとり、午
後は観測その他の準備をするという昼夜逆転で生活する計画でした。しかし、予
想外の厳しい残暑続きで、土地柄、暖房施設しかない宿では寝ることが出来ず、
結局昼間は北海道観光、夜は観測という体には優しくない生活となってしまいま
した。
望遠鏡は、完璧な観測操作なので、普段の惑星観測と少し異なり、操作室でのパ
ソコンモニターを監視する作業を黙々と行っていました。今回は、メタンバンド
での観測が主だったので、モノクロの木星を4時間近く見ていました。あまりに
単調な作業なため、時折モニターに映し出されるメタンバンドの木星をスケッチ
するという、世にも不思議な経験をしてきました。
11月上旬には、キャンペーンの第2弾が行われます。衝に近づき、長い時間観測
できるので、より一層検出のチャンスがあります。日常の惑星観測とは違う、非
日常の観測は、より惑星の魅力を感じられるのではないでしょうか。ぜひ晴れた
日は夜空を見上げてください。
(明治大学天文部)
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[図1] 名寄市立天文台「きたすばる」 |
手前のドームにピリカ望遠鏡が設置されている。 |
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[図2] 観測室で閃光現象を監視中 |
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