天文ガイド 惑星サロン2014年11月号 (No.146)山崎明宏

高解像度撮影のポイント

天文ガイドには、毎月素晴らしい惑星画像が掲載されています。撮影した惑星が思ったよ うなイメージにならないと、ついシーイングのせいにしたくなります。でも、やるべき事 が残っているかもしれません。今回は、高解像度の惑星を撮るポイントを、いくつか紹介 します。

@ 光軸調整(基本!)
私の場合、撮影を開始する前に必ず確認して微調整します。以前シュミットカセグレンを 使用していた時は、撮影の合間にも確認していました。望遠鏡の向きによっては、自重に よるたわみで光軸が狂うことがあります。

A 適切な拡大率(基本は大きく撮る!)
拡大率が小さめの方が多いです。個人的な経験に基づいた計算方法を、記載しておきます。

F = K × P または f = K × P × D

F : 必要なF値
P : CCDのピクセルサイズ[μm]
K : 係数 (土星・月 5.5, 木星 6.5, 火星>8)
f : 撮影に必要な焦点距離 [mm]
D : 口径 [mm]

例えば、惑星撮影で使用されているDMK21AU618の場合、CCDのピクセルサイズは5.6[μm] なので、木星の場合は計算結果はF=36になります。これを目安にF値を前後させて撮影し て、光学系に合った値を探してください。

B 大気分散補正(かなり効果あり)
CCDの手前に偏角2°のウェッジプリズムを挿入して、大気による色分散を補正します。 LRGB撮影でも画質が向上しない場合、この補正がお勧めです。何度か紹介されていますが、 意外と未補正の方が多いです。詳細については、「大気分散 惑星」でネット検索してく ださい。私は、先月紹介した"Edmund optics"から購入した25mm径、偏角2°のプリズムを 31.7mm枠に収め、CCD先端のスリーブにねじ込んでいます。

C 口径(お金に余裕があれば)
高解像度を狙うのであれば、口径を25cm以上で検討することをお勧めします。30cmクラス であれば、好シーイング時には素晴らしい画像が得られるはずです。

良いシーイングに出会えますように・・・

図1 筆者による惑星画像
左:2009年 12.5cm屈折(惑星の撮影を始めた頃)。右:2014年 318mmドール・カーカム反射を使用。

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