天文ガイド 惑星サロン2015年4月号 (No.151)榎本孝之

マウイ島滞在の小話

私は大学の天文サークルに入ってから惑星観測をしたり月惑星研究会に参加したりして、 惑星への興味を深めるようになりました。今では大学院で金星の雲によって反射された光 の偏光を観測し、微物理特性や層構造を推定する研究を行っています。この研究を発展さ せるために、所属大学の支援を受け、2014年9月から12月にかけてハワイのマウイ島にあ るハワイ大学天文学研究所に滞在してきました。そこではハレアカラ山頂観測所の望遠鏡 に新たに設置する偏光素子の光学設計や、それを使った試験観測などを行いました。

海外での長期滞在は初めてで、生活に馴染めるか不安でした。しかし研究所の人たちはも ちろん地元の人たちはとても気さくで、スーパーや喫茶店の店員、バスの運転手やバス待 ちの人たちと話しているうちに、お互い顔見知りになるほど溶け込めたように思います。

そんなフレンドリーな地元の人たちですが、ちょっと呆れてしまったこともあります。オ フィスと宿泊所は10kmほど離れていて、毎日の通勤には地元が運営しているMaui Busを利 用しました。1時間に1本という数少ない運行形態なので、1本逃すと面倒なことになりま す。今では良い思い出ですが、バス停で待っていたにもかかわらず止まらずに通り過ぎて しまった、降車合図を出したにもかかわらず止まらなかった(2回)、バスが時間前に到着 して時間前に出発してしまった、といった日本だったらクレームもののハプニングがあり ました。実際は運転手さんたちと仲良くなっていたせいもあり、怒ってクレームを入れる 気は起きませんでしたが・・・。

こう書いてしまうと悪いことだらけのように思われるかもしれませんが、もちろん普段は 気持ちよく利用できます。また4ドルの1日乗車券を使えば島内のバス路線は乗り放題で、 島内観光にはとてもお得です。マウイ島を訪れる機会があれば、Maui Busをぜひ利用して みてください。

[図1] マウイ島の風景

[図2] ハレアカラ山頂の観測所

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