天文ガイド 惑星サロン2015年12月号 (No.159)山崎明宏

金星を撮影しよう

明け方の空に金星が見えています。高度もあるので観測にはもってこいです。この機会に 金星の撮影にチャレンジしてみませんか。金星表面は厚い大気に覆われていて、可視光で 撮影しても模様は何も写りません。でも、近紫外域や近赤外域の波長で撮影すると、模様 を撮影することができます。今回は、近紫外線による撮影をご紹介します。

@ 何が写るのか?
紫外線で写るのは、金星大気の上層部です。大気内に含まれる物質の紫外線に対する反射 率の違いが、模様として写ります(見えます)。

A UVフィルター
紫外線撮影用としては、中心波長350nm、半値幅50nm程度のフィルターを使用します。 Baader、IDAS、Astrdonなどのメーカーが製品化しています。

B 適した望遠鏡
個人的な意見ですが、反射望遠鏡の方が有利と思います。屈折望遠鏡だと、機種によって は明瞭な像を得るのが難しいかもしれません。拡大用のバーロレンスなども、紫外域では 不利な材料になります。カセグレン系の望遠鏡をであれば、拡大レンズを使用せず、ピク セルサイズの小さいCCDで直焦点撮影することをお勧めします。

C CCDカメラ
惑星の撮影に使用しているモノクロタイプであれば、そのまま使用できます。カラーCCD の場合、内部に紫外/赤外カットフィルターが組み込まれている場合があるので、注意が 必要です。

D 多階調で記録
最近のCCDカメラは8bit以上の階調で動画を保存できます。金星の明暗境界部は、厚い大 気の影響でグラデーション状に変化しています。8bit階調で強めの処理をすると、リング 状の疑似パターンが発生し易くなります。

金星の撮影は、どちらかと言えば難しい部類に入りますが、シーイングなどに恵まれると、 かなり明瞭な画像を得ることが出来ます。早起きして、金星を見よう!

[図1] 金星の紫外画像
31.8cm(F20) ダールカーカム(直焦点)、UVenusフィルター

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