明け方の空に金星が見えています。高度もあるので観測にはもってこいです。この機会に
金星の撮影にチャレンジしてみませんか。金星表面は厚い大気に覆われていて、可視光で
撮影しても模様は何も写りません。でも、近紫外域や近赤外域の波長で撮影すると、模様
を撮影することができます。今回は、近紫外線による撮影をご紹介します。
@ 何が写るのか?
紫外線で写るのは、金星大気の上層部です。大気内に含まれる物質の紫外線に対する反射
率の違いが、模様として写ります(見えます)。
A UVフィルター
紫外線撮影用としては、中心波長350nm、半値幅50nm程度のフィルターを使用します。
Baader、IDAS、Astrdonなどのメーカーが製品化しています。
B 適した望遠鏡
個人的な意見ですが、反射望遠鏡の方が有利と思います。屈折望遠鏡だと、機種によって
は明瞭な像を得るのが難しいかもしれません。拡大用のバーロレンスなども、紫外域では
不利な材料になります。カセグレン系の望遠鏡をであれば、拡大レンズを使用せず、ピク
セルサイズの小さいCCDで直焦点撮影することをお勧めします。
C CCDカメラ
惑星の撮影に使用しているモノクロタイプであれば、そのまま使用できます。カラーCCD
の場合、内部に紫外/赤外カットフィルターが組み込まれている場合があるので、注意が
必要です。
D 多階調で記録
最近のCCDカメラは8bit以上の階調で動画を保存できます。金星の明暗境界部は、厚い大
気の影響でグラデーション状に変化しています。8bit階調で強めの処理をすると、リング
状の疑似パターンが発生し易くなります。
金星の撮影は、どちらかと言えば難しい部類に入りますが、シーイングなどに恵まれると、
かなり明瞭な画像を得ることが出来ます。早起きして、金星を見よう!
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[図1] 金星の紫外画像 |
31.8cm(F20) ダールカーカム(直焦点)、UVenusフィルター |
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