12年前、2004年1月に双子のローバー、スピリットとオポテュニティが火星に着陸し、観
測を始めました。まず、スピリットがグゼフ・クレータに着陸し、続いてオポテュニティ
がグゼフ・クレータとは反対側、メリディアニ平原にある直径約22mの小さなクレータに
着陸しました。このクレータは、後に「イーグル・クレータ」と命名されました。
プロジェクト代表者のスティーヴ・スクワイヤーズ博士は著書、「ローバー、火星を駆け
る(早川書房、2007年)」の中で「オポテュニティはクレータの真ん中で目の前の露頭を見
ている。まさに、惑星間を5億キロも飛んでホールインワンした」、さらに、「アポロ11
号の月着陸船にちなんでイーグル・クレータと呼ぶことにした。この名前には、ちょっと
したしゃれもある。ゴルフのパースリーのホールなら、イーグルはホールインワンのこと」
と、クレータの命名についてのエピソードも紹介しています。
画像はオポテュイティが撮影したパノラマ写真です。正面に露わになった岩盤があり、火
星の地質調査に最適な場所でした。オポテュニティは、この露呈した岩盤で「ブルーベリ
ー」というニックネーム呼ばれた直径数ミリメートルの粒を見つけました。これは岩の成
分が水に溶け出して再び凝結した球状の粒でコンクリージョンと呼ばれているものであり、
そして、赤鉄鉱を豊富に含むことがわかりました。つまり、火星にもかつては水があった
というわけです。
オポテュニティは、2015年の11月には総走行距離が42.63キロメートルに達し、エンデバ
ー・クレーター(直径約22km)の西縁、「マラソン・バレー」で観測を続けています。
|
[図1] オポテュニティが着陸地点から撮影したパノラマ画像 |
|