天文ガイド 惑星サロン
2021年7月号 (No.226)
水元伸二

A Photographic Study of the Brighter Planets

E.C.スライファー著「A Photographic Study of the Brighter Planets, 1964」(Lowell Observatory & National Geographic Society)の紹介です。

著者のE.C.スライファー(Earl C. Slipher、米国、1883〜1964)は、長年ローウェル天文台(61cm屈折)で惑星の写真観測を行い、その集大成としてこの本を出版、1904〜1963年に撮影された水星・金星・火星・木星・土星の写真集(125頁)です。

同時代、他の天文台では惑星の写真観測はほとんど行われておらず、撮影日時が記 載されていて貴重な観測資料です。 惑星写真で初めてコンポジットを実用化し、感光剤が低感度のこの時代にあってもフィルターワークと相まって素晴らしい写りで惑星観測者のお宝本です。

ここではそのほんの一部(木星)を掲載しています。 他に火星の写真集として「The photographic story of Mars, 1962」があります。

[図1] A Photographic Study of the Brighter Planetsより
左から、1904年12月2日(黄フィルター):南赤道縞(SEB)が濃く、北赤道縞(NEB)は淡化消失。1914年9月3日(黄フィルター):中央に大きく淡い大赤斑。1928年10月5日(青色光):南赤道縞攪乱が発生中。左端に大赤斑。1938年8月11日(黄フィルター):赤斑孔(RS Hollow)となった大赤斑。

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