天文ガイド 惑星サロン
2024年3月号 (No.258)
田部一志

閃光観測に思う

木星に時々見られる閃光現象は、いうまでもなく微小天体が木星大気と衝突して発光している現象です。 昨年2023年末には立て続けに2つの閃光が捉えられました。 そのうち1つはモニターに映った木星像で眼視的に目撃されたもので、ビデオ映像が残っているわけではありません。 しかし、過去の例でも目撃談から撮影された映像が見つかるという事例もあり、報告することの重要性は増しています。 報告と言ってもSNSで拡散するだけでは見過ごされることもあり得ますが、月惑星研究会へ報告していただければ情報が埋もれることはありません。

それ以上に重要なのは、観測した結果を見直すことです。 例えば昨年8月の閃光は、独立発見者より、後追いの発見者のほうが多数現れました。 観測中、常にモニターを凝視しているわけではないので、観測終了後改めて画像をチェックする時間をとっていただければと思います。 記録されてはいても、誰にも見つからないまま埋もれてしまう例が無いとは限りません。

海外には、DeTeCtという閃光専用の自動検出アプリケーションもあります。 まだ日本ではあまり使われていないようですが、効果は期待できます。

昨年は4回の閃光現象が捉えられました。 もちろんこれで全てのイベントを捉えたとは言い難い状況です。 だれもが、もっと多くの閃光が起こっているに違いないと思うでしょう。 今一度、あなたの記録を見直してみてはいかがでしょうか。

[図1] 2023年12月29日の閃光
23時57〜58分頃に発生。コロンビア(南米)のアンドレス・アルボレダ氏撮影。画像は北が上。中央上の白い点が閃光。左下の白点は経過中のイオ。

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