この観測レポートのページで記載する衝や合などの日付は、天文年鑑から引用し、世界時(UT)に換算した値です。 例えば冒頭で書いた木星の東矩は、日本時間(JST)で1月23日3時40分でしたので、1月22日(UT)となります。
ところが東矩の日付を調べてみると、1月27日となっている資料があります。 惑星の衝や合、留、矩などの日付は、参照する天体歴によって異なる場合があり、時々混乱することがあります。 これは基準となる座標系が赤道座標(赤経)と黄道座標(黄経)の2種類あることが原因で、赤経は地球の赤道面、黄経は地球の公転面が基準になっていて、互いに23.4°傾いているため、惑星と太陽が相当する経度差になるタイミングに違いができるのです。 天文年鑑は赤経での値となっています。 その差は衝、合、留の場合、大きくても1日程度ですが、東矩と西矩では4〜5日も違う年があります。 太陽系天体の運動として捉えると、黄経の方が理解しやすいのですが、地上で観測する立場としては、子午線が鉛直方向と一致する赤経の方が感覚的にすっきりするので、どちらが良いとは言えないようです。
国立天文台暦計算室のサイト(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/)にある暦象年表のページでは、2009年以降の惑星の諸現象の日時を調べることができます。 赤経と黄経のどちらにも対応しています。 試しに土星の合を調べると、赤経では3月1日0時28分、黄経では2月29日6時26分です。 これらは日本時間(JST)での値なので、世界時(UT)の場合は9時間を引いて、2月29日(赤経)と28日(黄経)いう結果が得られます。
[図1] 今年の土星の合の模式図 |
今年の土星は黄道よりも南側にあるので、黄経の合→赤経の合の順となる。 |
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