天文ガイド 惑星サロン
2024年6月号 (No.261)
堀川邦昭

木星で起こる現象の周期性(6)

今回は準循環気流について取り上げます。 準循環気流は、大赤斑の後方にフックと呼ばれる独特のカギ型に曲がった形状の暗柱が出現、SEBsとSTBnのジェットストリームと結合してUターンし、大赤斑前方に濃いSTrBを伸長する現象です。

2014年に初めて出現した新しい現象で、準循環気流は正式な現象名ではなく、筆者の創作です。 南熱帯攪乱に伴う循環気流とは、大赤斑の後部でのみ発生、SEBsからSTBnへの流れだけで、反対向きはほとんどないという違いがあります。

発生間隔は数ヵ月〜3年と、これまでに取り上げた現象に比べると短いのが特徴です。

筆者の研究では、準循環気流の発生と消失は大赤斑の90日振動に連動しているようで、発生は90日振動の後退期の終わり、大赤斑の経度が極大になった前後に発生しています。 表1の発生年月でも、1月、4月、7月か、その前後であることが明らかです。 また、消失は90日振動の前進期に起こる傾向が見られます。

頻繁に起こるので、次を予想するのは容易ではありませんが、上記のパターンから考えて、1月、4月、7月、10月の月初めは大赤斑周囲に注意する必要があります。

[表1] 準循環気流のリスト
*は不正確。
[図1] 今年1月に発生した準循環気流

前号へ INDEXへ 次号へ